ピクト図解入門講座受講レポート
概要
1/24(木)ハロー貸会議室 新宿曙橋にてクロスシェア合同会社の主催で開催されたピクト図解入門講座「複雑な事象をシンプルにしてみよう」に参加しました。
講師はピクト図解の認定インストラクター*1。ピクト図解 ビジネス活用部会 IT支部(通称:ピク活IT支部)と今回共催のピク活女子部を主宰し、ピクト図解の勉強会を数多く開催しています。
ピク活女子部はピクト図解を活用したい人のためのコミュニティ。講師自身の経験から、論理思考が苦手な女子こそ図解を知るべきだと女子部を立ち上げたとのこと。ちなみにピク活女子部のセミナーは女性のみならず男性も参加可能です。
今回の入門講座は、主にピクト図解を知らない人や知ってるけど自分で描いたことない人向けのセミナーです。また、ピクト図解に慣れてる方でも楽しめます(他の方の描いたピクト図解やディスカッションから気づきを得られます)。
またスペシャルゲストはピクト図解考案者の板橋さん。ワーク中や最後にアドバイスをいただきました。さすが、板橋さんがいらっしゃることでどんな疑問もその場で解消できる安心感がありますね。今回はある方の質問のおかげでピクト図解の誕生秘話のひとつを聞けました。
内容
入門講座
今回は、新聞記事を使った図解入門です。この講座を受けると、「「記事トレ!」日経新聞で鍛えるビジュアル思考力」で紹介された「3W1Hメソッド」を学べます。
3W1Hメソッド
「3W1Hメソッド」は、ビジネスモデル(儲けるしくみ)を直感的に理解・発想するために開発された学習メソッドです。以下のステップで新聞記事をピクト図解で整理します。
- ヒト×モノ×カネに印をつける(新聞記事からヒト・モノ・カネを見つけて印をつける)
- 3W1Hシートに転載(「誰が、誰に、何を、いくらで」に整理)
- ビジネスダイアグラムを書く(ピクト図解にする)
詳細については3W1Hメソッドを参照下さい。
新聞記事を使った図解のワーク
ワークでは同じ新聞記事を使って図解しました。記事は「受験シーズン本番間近!菓子で応援メッセージ」(日経新聞 2012/12/21)。これは今が旬の、受験生への応援メッセージ付きお菓子(チョコレートなど)に関するニュースでした。
- 1回目はノーヒントで自由に図解
- 2回目は解説を聞いてからピクト図解
1回目はノーヒント。どんな風にまとめていいか迷いながら、各自が思い思いに図解しました。マインドマップにする方、ポンチ絵にする方など整理は千差万別です。
2回目は「3W1Hメソッド」の説明を聞いてステップ単位に図解を進めました。普段何気なく読んでしまっている新聞記事も、「ヒト・モノ・カネ」に着目してみるとビジネスモデル(儲けの仕組み)がはっきり見えてきます!また、この視点で読んでみると、意外に情報が揃っていない記事が多いことに驚きます。
それぞれ隣の人とお互いに描いた図解を説明してディスカッションします。1回目と比較すると、2回目はピクト図解を使って説明すると、ビジネスの骨格が整理されているので、驚く程説明しやすくなることが分かります。
私の作成した図解
ワークで私が作成した図解です。上段が1回目のワーク、下段が2回目のワークで描いたもの(右側が3W1Hシート)です。*2。ちなみに私の作成したピクト図解は正解でもなんでもありませんので悪しからず(汗。
ワーク | 作成した図 | |
---|---|---|
1回目 | ||
2回目 |
リーディング・ピラミッド
リーディング・ピラミッドは、「記事トレ!」本で紹介されている3段階の新聞記事活用レベルです。
- 第1段階:理解する(Fact)
- 第2段階:会話する(Opinipon)
- 第3段階:発想する(Idea)
今回のワークでは、第2段階まで体験できました*3
記事を「他人ごと」として読むままではなく、「自分ごと」として知恵にすることで第3段階に到達できるそうです。
感想
初めて受講したピクト図解セミナーの感動再び!
今回の入門セミナーは、2010/10に私が初めて受けたピクト図解のセミナー『ビジュアル思考ですっきりわかる!“日経新聞の読み方”』(当時のレポート)と似た、新聞記事の読み方を通してピクト図解の書き方を学ぶものでした。
当時の私は既にある程度ピクト図解を描き慣れていたのですが、隣の席にいたピクト図解を全く知らない方(ビジネスマン)が、あっという間に書き方を覚えてしまって、ピクト図解を見ながら儲かる理由やビジネス発展の可能性について沢山アイデアを出されたことに驚愕したことを思い出しました。さらに、当時からあまりビジネスモデルには詳しくない私でも、ピクト図解を見ながら説明を聞くと話についていけることにも非常に驚きました。
今回もそれと同様、ピクト図解を知らない人でもほんの2時間のレッスンの中で、新聞記事を読んでピクト図解で表現できるものでした。また、今回はグループディスカッションの際に学生さんが「ピクト図解はビジネスの骨組みを表すもの」とズバリ本質を捉えていてビックリしました*4。確かに、ピクト図解を使ってビジネスの議論をするのは骨組みをベースに肉付けするのに似ていますね!
「交換(⇆)*5」記号(2種類の矢印)の誕生秘話
ピクト図解の表記ルールでは、販売と支払いの矢印を区別しています。「製品は「○」、対価は「¥」と表記しているのに、なぜわざわざ交換の矢印を区別しているのか?」という隣の方の質問で、意外な理由を板橋さんご本人から伺いました。誕生秘話に興味ある方、知りたい方はぜひセミナーにご参加下さい(笑)。
秘話ではありませんが、矢印を区別する効果は以下の通りです。
【交換の矢印を区別する効果】販売の方向(製品・サービスの流れ)が目立ちます(瞬時に理解できます)。
図解は凄い!
あらためて「図解のパワー」を感じられる良いセミナーでした。最後に板橋さんから現場で使っているピクト図解をいくつか見せていただきました。かなり複雑な構造になっても、ビジネスモデルの特徴を手早く説明できるのが印象的でした。
そんな訳で今日の気づきはこれ。
【気づき】エレベータピッチにピクト図解!
時間のない経営層に対して、30秒でビジネスアイデアに興味を持ってもらうのにピクト図解は最適。口頭の話しだけでは難しいけど、ビジネスの骨格を示すピクト図解を使えば(きっと)簡単です!
アジャイル界隈でも最近流行の「インセプションデッキ」にもある「エレベータピッチ」。アジャイルな「エンジニアにもピクト図解!」ですね(笑)
まとめ
この入門講座(ピクト図解)は、以下の人に役立つセミナーだと思います。
- ビジネスモデル(儲けの仕組み)を意識している、あるいは考えている人
- そのアイデアを上手く整理できない人、他の人に上手く伝えられない人 ← 必見!
- 図解は好きだけどビジネスモデルはよく分からない(でも興味はある)人 ←これ、私(笑)
何を伝えたいか?【追記】
ピクト図解はビジネスモデルの骨格(「誰が、誰に、何を、いくらで」の視点で、自社-顧客間と自社-パートナー間で価値と対価の交換)を視覚化するものです。他のツールと比べると、要素が単純なので簡単に描けること、全体像を瞬間的に理解できるのが最大のメリットだと感じています。
当然のことながらピクト図解も他の図解と同様「何を伝えたいか」によって描くべき内容は変わります。
今回のワークで、大きな勘違いを思い知ることになりました。それは、お菓子とおまけを別々の交換とするか、一緒にまとめてひとつの交換にするかという点です。私は販売(商品と対価の交換)の単位で”表現すべき”と考えて、商品とおまけをまとめて交換と表現しました(隣の方は素直に別の交換として描かれていました)。
板橋さんからは「どちらでも良い。何を伝えたいかによる」とのアドバイス。表記ルールを知っていることで過信していた自分に気づきハッとしました。これは普段、自分が仕事にしているモデリングにおいて他の人に伝えていることなのに、自分自身が勝手に思い込んだルール(こうすべき)に縛られていたとは…。ちょっと反省です。。。
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関連図書
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今回の入門講座はこの書籍の内容がベースです。 |
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次のステップ、ピクト図解でビジネスモデルを発想するのはこちらです。 |